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新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために全都道府県を対象に出されていた緊急事態宣言が、この14日に「特定警戒都道府県」だった茨城、石川、岐阜、愛知、福岡を含む39県で解除されました。東京、大阪など残る8都道府県は継続し、21日をめどに政府が解除の是非を改めて判断します。

解除後初の週末を皆さん、いかがお過ごしになったでしょうか。

東京都は17日、新たに5人の感染者が確認されたと発表しましたが、新規感染者が5人以下となったのは、3人だった3月22日以来です。 大阪府は新規感染者が3月9日以来のゼロで、4日連続で5人以下。千葉県や京都府もゼロ。国内の新規感染者は17日午後9時の時点で27人を数えますが、1日当たりの感染者が30人を下回ったのは3月16日以来のことです。

政府が緊急事態宣言を発出したのは4月7日。1カ月半近くの間、国民の多くが外出の自粛、感染リスクの高い飲食業、接客業等の休業、休校などに努めた結果が現れてきたと言えるでしょう。数字を見ても、直近1週間の新規感染者数が「人口10万人当たり0・5人以下」となり、重症者の増加に対応できる医療提供体制、PCR検査など感染状況の監視体制の整備なども進んでいます。

しかし、未知のウイルス相手の「防疫」は長期戦を覚悟しなければなりません。ここで気を緩めては、再び感染が拡大しかねないことを肝に銘じたいものです。さらに厄介なのは、日本が終息に向かっても世界がどうなのかということです。

米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計(日本時間17日)によると、新型コロナウイルスの世界の感染者は累計466万人超、死者は31万人を超えました。どの国も感染拡大のピークは過ぎたようですが、これは第一波で、今後、第二波、第三波の可能性があります。終息までどのくらいかかるのか、確かな見通しはまだ立っていないのが現状です。

既存のアビガンやレムデシビルが重症者に投与され効果を上げているという報道もありますが、新型コロナに対して確実に効く治療薬やワクチンの開発にはまだ時間がかかるでしょう。

繰り返しますが、気を緩めず、「防疫」という戦(いくさ)の日々を過ごしているのだと自覚しましょう。これは不安を抱いて過ごせ、というのではありません。ウイルス感染への徹底した対策と、社会(学校や地域)活動、経済活動の段階的再開の両立には「挙国一致」の取り組みが不可欠です。より冷静に、少しでも正確と思われる情報以外は脇に措いて振り回されないことが大切です。

その意味で地上波のテレビ局が連日放送している情報番組はかなり罪深いと思います。医療に関わる正確な知識・情報の伝達よりも、政府の各対策への批判を衣に纏うかたちで、人々の不安や不満を一層掻き立てるような――それによって視聴率を上げる――感じがしてなりません。細かいことですが、BGMや関連映像の処理など業界のプロが見たら歴然ではないかと思います。

ウェブ上でも情報は錯綜し、また流言やデマも溢れ返っています。情報が不確かな状況においては、「真実はこうだ」と衝撃的に発信するほうが、人々の猜疑心や不安心理に作用して、短期的に大きな注目を浴びます。

私は、ごく普通のこと、自分の考える常識の立場からしかモノを語れません。

思い返せば、東日本大震災のときも3月11日の夜にこんな発信がネット上に拡散されていました。

〈千葉の皆さん!コスモ石油の火災で有害物質が雲に付着している。雨が降ったら危険なので肌を露出しない。長袖、カッパの着用、傘を忘れないようにとの事です。できるだけ多くの人に伝えてください。〉

同様のツィートやチェーンメールが飛び交い、私のところにも回ってきたものです。その中には、〈工場勤務の方より〉とか〈医師会からのFAXで〉と付されたものもありました。

事実はどうだったかといえば、たしかに千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所のLPGタンクが爆発しました。しかし、タンクに貯蔵されていたのはLPガスで、燃焼により発生した大気が人体に及ぼす影響は極めて軽微。ネット上に拡散された情報は、その発信の意図が善意の警鐘だったとしても、人々を混乱させる「流言」だったと言わざるを得ないのです。

糸井重里さんが、東日本大震災後の4月25日、Twitterにこんな投稿をしていました。

〈ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。〉

私は、糸井さんのこれまでの言動のすべてに賛同、共感する者ではありませんが、意見や情報に対するこの姿勢には同感です。

もちろん、政府や関係機関が保身のため情報を隠している可能性を念頭に置くのは国民として必要です。が、そうした疑念を補強するかのごとき「これが真相だ」といった情報にも無防備であってはならない。とくに現在進行の事象に関しては、そこに悪意や恣意がなくとも、都度発信される情報は「経過」にすぎないと心しておくべきです。そう考えると、糸井さんのツイートが、不安や恐れにいたずらに揺さぶられない「常識の立場」なのだと思います。

以上の観点から、この間私が読んだいくつかの記事を皆さんに御紹介します。

【新型コロナウイルス「最前線の医師」が語った本音】

https://bit.ly/2zR9fxZ

正しく怖がり、正しく行動する。そのための基本的な認識と心構えが示されています。地上波のテレビに出てくる先生方よりも、私はずっと信頼できると思いました。

【各国の感染・死者数、比較が難しいのはなぜ?】

https://bbc.in/3g0W7XE

【カネ資源超大国 コロナ恐慌、克服できる日本】

https://bit.ly/2zIkOYq

我が国は「コロナ恐慌」を乗り越えられるか。政府は無制限に国債を発行しても大丈夫か。〝古巣〟である産経新聞の大先輩、田村秀男記者の解説記事です。有料会員記事なので、全文御覧になれない方のため以下に要約しておきます。

政府は無制限に国債を発行しても大丈夫なのか。

田村さんの答えは、〈少なく見積もっても100兆円以上の国債を今、ただちに発行しても全く問題はない。日本はカネ余り超大国であり、政府は経済対策に必要なカネを存分に国内で調達できる〉というものです。

〈本来なら政府が国債発行でカネ資源を吸い上げて、脱デフレに向け中長期的な経済再生戦略に活用すべきだったのに、財務官僚が阻止してきた。しかしコロナショックが緊縮財政路線を吹き飛ばした。〉

円資金という資源を日本はどのぐらい保有しているのか。

(これはURLにアクセスしてグラフを御覧ください。)

〈一目瞭然、現預金合計額は一貫して政府純債務を大幅に上回っている。2019年は1288兆円で政府負債よりも590兆円多い。

 国内で使われないカネは「輸出」、すなわち対外債権となり、19年で372兆円ある。同年のGDPと比べると、現預金合計は2・32倍、政府純債務は1・25倍、対外純債権は3分の2相当だ。〉

記事はこの後、日本がいかにすごいかを米中との比較で論じます。

そして、〈カネたっぷりの日本は世界からうらやましがられる存在のはずである。安倍晋三政権はコロナ不況の状況に合わせ、機動的に財政支出を中心とした第2弾、第3弾の追加経済対策を悠々と打てばよい〉というのが結論です。

我が国に国力増強・国富増大のための資源はあり、できないとすれば「政治決断」の問題で、国民がしっかり覚醒することが我が国の「再起」の鍵です。残念ながら、多くの新聞、地上波のテレビはそのために機能していません。いまだに「国の借金〇〇兆円」と財務省の〝詐術〟のまま報じています。

【上島嘉郎からのお知らせ】

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●日本文化チャンネル桜に出演しました。

・4月22日【Front Japan 桜】〈わが国に「過剰自粛」は存在しない/いまこそ「日中友好」再考を!〉

https://www.youtube.com/watch?v=GbTuiNnqyOI&t=13s

・5月15日【Front Japan 桜】〈アフターコロナは“媚中”の終わり/日本が世界に先駆けて武漢マスク輸入中〉

https://www.youtube.com/watch?v=2bCyDKmC3Hw&t=5s